ピッキングを効率化するには?物流オペレーションの最適化に向けたポイント

物流業界では、EC市場の拡大や多様化する顧客ニーズに対応するため、効率的な物流オペレーションの実現が急務となっています。なかでもピッキング作業は、出荷までのリードタイムや物流コストに大きな影響を与える重要な工程です。人手不足や作業ミスなどの課題を抱える企業も多く、ピッキング効率化に向けた取り組みが不可欠です。本記事では、ピッキング作業の効率化の必要性と重要性を解説し、レイアウト改善から自動化導入まで、具体的な改善策とそのポイントを詳しく紹介します。

ピッキングとは

ピッキングとは、倉庫内で行われる重要な作業のひとつで、顧客の注文に応じて、商品の保管場所から指定された商品を取り出し、梱包・出荷の準備をすることを指します。この作業は、通販サイトでの商品出荷や、小売店舗への商品供給を支える物流の要(かなめ)であり、注文から配送までのリードタイムに大きな影響を与えます。

具体的には、ピッキング作業者(ピッカー)が、注文情報をもとに作成されたピッキングリストを手に取り、倉庫内を移動しながら、棚や保管場所から指定された商品を見つけ出し、必要な数量を取り出します。その後、ピッカーは集めた商品を梱包エリアに運び、梱包作業者へと引き継ぎます。

ピッキングには、作業方式によって主に以下の種類があります。

  • シングルピッキング
    1件の注文に対して、1人のピッカーが倉庫内を移動し、必要な商品をひとつずつピッキングする方式です。小規模な倉庫や、多品種少量の注文に適しています。
  • トータルピッキング
    複数の注文をまとめて、1人のピッカーが一度にすべての商品をピッキングする方式です。ピッカーの移動距離が短縮できるため、作業効率が向上します。大規模な倉庫や、同じ商品が多数の注文に含まれる場合に適しています。
  • マルチピッキング
    複数の注文を同時並行でピッキングする方式です。複数のピッカーが協力し、注文ごとに商品を分けながらピッキングを行います。大量の注文を短時間で処理する必要がある場合に効果的です。

倉庫内のピッキング作業は、注文量や商品の種類、在庫の状況などに応じて、最適な方式を選択することが重要です。

従来のピッキング作業が抱える課題

「2024年問題」に直面している物流業界では、ドライバー不足、労働力の高齢化、インフラ整備の遅れなどを要因とする物流クライシスが話題となっています。物流業界全体のオペレーションの効率化が喫緊の課題となっており、ピッキング作業も例外ではありません。主なピッキング作業の課題として以下があります。

物流業界の問題について詳しくは、「物流クライシスとは?物流DXで2024年問題から脱却するには」をご覧ください。

  • 人手による作業効率の低下やミス
    従来のピッキング作業は人的作業に大きく依存しているため、作業効率の低下やミスが発生しやすい状況にあります。例えば、ヒューマンエラーによる品番や数量の間違い、類似商品の取り間違いなどが頻発し、出荷品質の低下や再出荷にかかるコストの増大を招いています。
  • 人手不足の問題
    倉庫内の作業環境の悪さや重労働といったイメージから、新たな人材の確保が困難になっており、人手不足が深刻化しています。また、熟練したピッカーの技能や知識に頼る属人化が定着して、業務の標準化が困難となり、人材育成への負担も増しています。
  • 物流コストの問題
    燃料費や人件費の上昇、倉庫の地代家賃の増加などにより、物流コストが全体的に上昇傾向にあります。特に、ピッキング作業は労働集約型の工程であるため、人件費の影響を大きく受けます。コスト増加分を販売価格に転嫁することが難しいなかで、効率を上げるための対策が必要です。

ピッキング作業を効率化するポイント

倉庫内のピッキング作業は、出荷までのリードタイムや物流コストに大きな影響を与える重要な工程です。ピッキング作業を効率化するためには、以下のポイントを見直すことが必要です。

倉庫レイアウトの最適化

商品の適切な配置により、ピッカーの移動距離を最小限に抑えることができます。例えば、出荷頻度の高い商品を出荷エリアの近くに配置したり、関連商品をグループ化して保管したりすることで、ピッキング動線を短縮できます。また、一筆書きのピッキングルートで効率的にピッキングできるようにレイアウトを設計することも有効です。

無駄な動きのない動線にすることで、ピッカーの移動時間を短縮し、作業効率の大幅向上や業務負荷の軽減、作業品質の向上を目指します。

ピッキングリストの改善

正確なピッキングを行うために欠かせないのが、わかりやすいピッキングリストです。リストの見やすさや情報の明確さを改善することで、ピッキングミスを防ぎ、作業効率を高めることができます。

具体的には、商品名、数量、保管場所、バーコードなどの必要情報をわかりやすく記載し、ピッカーが迷わずに作業できるようにするといいでしょう。リストの並び順を商品の保管場所に合わせて最適化すると、ピッカーの移動距離を最小限に抑えられます。

マニュアルや手順の整備

ピッキング作業の手順やルールが明確に定義されていないと、作業品質にばらつきが生じやすくなります。そこで、標準作業手順書(SOP)のような精度の高いマニュアルやフローチャートを作成し、作業手順を標準化することが重要です。

マニュアルには、作業の目的や手順、注意点などを詳細に記載し、誰もが同じ品質で作業できるようにします。また、運営オペレーションを見直し、無駄な作業を削減したり、効率的な作業動線を設定したりすることも必要です。作成したマニュアルと業務フローを従業員全体で共有し、シミュレーションや研修を通じて理解を深めることで、作業の均一化と効率化を実現できます。

ピッキング作業のデジタル化の必要性

従来の人手に頼った作業方式では、作業効率の限界や人的ミスのリスク、労働力不足などの課題が顕在化しており、業務のデジタル化を積極的に取り入れた効率化が必要です。ピッキング業務をデジタル化することで、業務の可視化やデータ活用が進み、さらなる効率化が可能でしょう。ピッキング作業の効率化に役立つ代表的な自動化システムには、以下のようなものがあります。

  • デジタルピッキングシステム(DPS)
    紙ベースのピッキングリストをデジタル化し、作業の効率化とミスの削減を実現するツールです。DPSでは、ピッキングリストが専用端末に表示され、ピッカーは画面上の指示に従って作業を進めます。バーコードやRFIDを活用することでピッキングの正確性を高め、リアルタイムでの在庫管理も可能になります。また、ペーパーレス化により、印刷コストや紙の廃棄コストを削減でき、作業時間の短縮にもつながります。
  • ピッキングロボット
    ピッキングロボットは、24時間休みなく稼働できるため、人手不足の解消と作業品質の安定化に寄与します。また、正確にプログラムされた動作を繰り返すため、人的ミスを防ぎ、作業品質を一定に保つことが可能です。特に、単純な動作の繰り返しや重量物のハンドリングなど、人手では負担の大きい作業をロボットに任せることで、作業者の肉体的・精神的な負担の大幅な軽減が期待できます。
  • AGV(無人搬送車)
    AGVは、あらかじめ設定された動線に沿って自律的に移動し、ピッキング場所と出荷エリアの間を往復します。庫内での商品の運搬を自動化することで、作業者がピッキングに専念できるようになり、作業効率が大幅に向上します。また、AGVとピッキングロボットやDPSを連携させることで、ピッキングから運搬までの一連の作業をスムーズに自動化できます。この統合的なソリューションにより、物流拠点全体の効率化を実現することが可能です。

ピッキング作業の効率化で物流業界の課題を克服しよう

ピッキング作業の効率化は、物流業界が直面する課題を克服し、競争力を強化するための重要な取り組みです。現場の課題を把握し、適切な改善策を実行することで効率化を実現し、さらには顧客満足度の向上につなげることができるでしょう。

ユーザックシステムでは、検品作業の効率化につながる「検品支援名人」や、出荷業務の効率化を実現する「送り状名人」などのシステムで倉庫業務のデジタル化を支援しています。ほかにも、さまざまなツールにより、幅広い業種でのデジタイゼーションやデジタライゼーションをサポートしていますので、ぜひユーザックシステムにご相談ください。

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